取締役トラブル対応

取締役トラブル対応について

会社を経営する上で、取締役間の意見対立や、トラブルは珍しいものではありません。しかし、その対応を誤ると、訴訟に発展したり、会社の経営そのものを揺るがす事態にもなりかねません。
取締役にまつわる様々なトラブル事例と、その対応策を紹介します。紛争の予防から、万が一トラブルが発生してしまった際の対処法まで、法的責任を踏まえた上で、具体的な解決策を提示していくので、ぜひ参考にしてください。

取締役に関してよくあるトラブル

企業経営の中枢を担う取締役は、その責任の重さから様々なトラブルに直面する可能性があります。会社の最高意思決定機関である取締役会では、経営の根幹に関わる問題で意見対立が生じることもあれば、不正行為や法令違反といった深刻な事態に発展することもあります。
これらのトラブルは企業の信頼失墜や経営停滞を招く恐れがあるため、適切な対策を講じることが重要です。

以下に、取締役に関してよくあるトラブルとその具体例、企業への影響をまとめます。

トラブルの種類 具体的な状況
経営方針の対立 新規事業投資、資金調達、人事戦略などでの意見の相違
不正行為や法令違反 横領、背任、利益相反取引、ハラスメントなど
解任・辞任をめぐる紛争 解任手続きの正当理由の問題、株主総会決議の無効主張、退職慰労金の減免など

取締役トラブルが企業に及ぼす影響

取締役間のトラブルは、単なる社内問題にとどまらず、企業の存続を揺るがしかねない重大なリスクを秘めています。株主代表訴訟や損害賠償請求といった法的な責任追及にとどまらず、企業の信用失墜につながる可能性もあるため、決して軽視できない問題です。

取締役トラブルへの対処法

取締役間のトラブルが発生した際、まず目指すべきは当事者間での協議による解決です。感情的な対立を避け、客観的な事実に基づいた冷静な話し合いを通じて、互いの主張を理解し、会社の利益を最大化する視点での合意形成を図ることが重要です。この段階で問題を解決できれば、会社への影響を最小限に抑えることができます。

しかし、協議だけでは解決が困難な場合や、取締役による不正行為、会社法や定款に違反する問題がある場合には、話し合いによる解決は馴染まないため、法的な手続きの検討が必要となります。問題の性質に応じて、以下のような法的手段が考えられます。

取締役の解任(株主総会決議)
任務懈怠責任の追及(損害賠償請求)
違法行為の差止請求

それぞれの法的手段について、詳細を説明します。

取締役が法令に違反する行為を行ったり、職務を適切に遂行していない場合や、会社の信用を著しく損ねる行為があった場合などに検討するべき選択肢が、取締役の解任です。
会社法に基づき、株主総会の普通決議によって、正当な理由の有無に関わらず、解任することができます(会社法第339条第1項、第309条第1項)。任期途中の解任も可能ですが、正当な理由がない解任は、解任された取締役から損害賠償請求を受けるリスクもあります。

取締役が会社に対して負う善管注意義務や忠実義務に違反し、その任務を怠ったこと(任務懈怠)により会社に損害が生じた場合、その取締役に対して会社は損害賠償を請求できます(会社法第423条第1項)。例えば、利益相反取引によって会社に損害が生じた場合は、その取締役が任務を怠ったと推定されます(会社法第423条第3項)。また、取締役が悪意または重大な過失によって職務を行い、第三者(株主を含む)に損害を与えた場合には、第三者に対しても損害賠償責任を負うことがあります(会社法第429条第1項)。

取締役が法令や定款に違反する行為を行おうとしている、または行っている場合、株主が会社に対してその行為をやめるよう請求できる手段を、違法行為の差止請求といいます。これにより、会社がさらなる損害を被ることを事前に防ぐことができます。

いずれの対処法を選択するにしても、トラブルの初期段階で弁護士などの専門家に相談することが極めて重要です。法的な観点から客観的な状況を正確に分析し、最適な解決策を検討することで、問題を深刻化させずに対応できます。

弁護士に相談するメリット

取締役間のトラブルは、会社の安定的な経営に深刻な影響を及ぼしかねないデリケートな問題です。当事者間での解決が困難な場合や、法的な対応が避けられない状況では、弁護士への相談が有用です。

専門的な法的知識に基づいた的確なアドバイス

取締役間のトラブルには、会社法、民法、その他特別法など多岐にわたる法律知識が複雑に絡みます。弁護士はこれらの専門知識に基づき、現在の状況を正確に分析し、会社が直面する法的リスクや今後の対応策、取りうる選択肢を具体的に提示することができます。

客観的かつ冷静な問題解決の推進

取締役間のトラブルでは、個人的な感情が絡み合い、当事者同士の話し合いが感情的になり、解決が膠着状態に陥るケースが少なくありません。
第三者である弁護士が介入することで、感情的な対応を排し、客観的な事実と法的根拠に基づいた冷静な交渉を進めることが可能となります。これにより、当事者では見落としがちな解決の糸口を発見し、建設的な合意形成を促すことで、紛争の長期化を防ぎ、円満な解決への道筋をつける効果も期待できます。

経営者の負担軽減

取締役トラブルへの対応は、交渉、書面作成、証拠収集、訴訟手続きなど、多大な時間と精神的労力を要します。これらの複雑なプロセスを弁護士に一任することで、経営者は本来の業務である会社の経営に集中できる環境を維持できます。特に訴訟に発展した場合、裁判の審理は長期化する傾向にあります。
弁護士が代理人として法的手続きを担うことで、経営者は精神的な重圧からも解放され、会社の事業活動の安定化に大きく寄与します。

問題の早期解決と深刻化の防止

取締役トラブルは、対応が遅れるほど問題が複雑化するリスクが高まります。弁護士は、トラブルの初期段階から法的な「落としどころ」を正確に見極め、迅速な解決へと導く可能性を高めます。
早期に専門家である弁護士の知見を活用することは、将来的なリスクを最小限に抑え、会社の健全な発展を確保するために極めて重要です。

当事務所のサポート内容

取締役トラブルは、個々の事案によってその原因や背景が大きく異なるため、画一的な解決策は存在しません。当事務所では、貴社の状況を詳細にヒアリングし、個別の事情に合わせた最適なサポートを提供いたします。

まず、貴社の現状を正確に把握するため、取締役トラブルの原因やこれまでの経緯、関係者の発言や客観的な資料などを綿密に分析いたします。この詳細なヒアリングを通じて、潜在する法的リスクや今後の見通しを見定め、貴社にとって最も有利かつ実践的な解決策をご提案します。特に、弁護士に相談すべきか判断に迷われる企業も多いかと存じますが、当事務所は、弁護士兼中小企業診断士である代表弁護士が法務面と経営面の両面から具体的な対応方針を提示することで、貴社の不安解消に努めます。

また、トラブルとなっている取締役との交渉は、感情的な対立を避け、客観的な視点で進めることが重要です。当事務所の弁護士が貴社の代理人として交渉を代行し、円滑な解決を目指します。

万が一、トラブルが訴訟に発展した場合でも、貴社の正当な利益を守るために尽力いたします。解任決議の無効確認訴訟や、取締役の任務懈怠に基づく損害賠償請求訴訟など、貴社の代理人として徹底的に対応し、法的根拠に基づいた主張を展開いたします。