アルバイト・パートに残業代は出る?1分単位・8時間ルールと割増賃金を弁護士が解説

更新日: 2026.07.21
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アルバイトやパートにも、残業代(割増賃金)は正社員と同じように発生します。「バイトだから」「時給だから」残業代は出ない、というのは誤りです。労働基準法は雇用形態を問わず適用され、1日8時間・週40時間を超えて働かせれば1.25倍以上の割増賃金が必要になります。さらに、残業時間は1分単位で計算するのが原則で、15分や30分での切り捨ては違法です。本記事では、アルバイト・パートの残業代がどんなときに・いくら発生するのか、1分単位のルール、掛け持ちの場合の考え方までを、企業経営者の視点で弁護士が解説します。

結論(この記事の要点)
  • アルバイト・パートにも残業代(割増賃金)は発生する。雇用形態は関係ない
  • 1日8時間・週40時間を超える労働は1.25倍以上、深夜(22〜5時)は1.25倍以上、法定休日は1.35倍以上。
  • 残業時間は1分単位が原則。日々の15分・30分での切り捨ては違法(1か月合計の端数調整のみ例外的に許容)。
  • 複数のバイトを掛け持ちする場合、労働時間は通算される。
  • 「バイトに残業代は出ない」という運用は違法で、未払い分に加えて付加金・罰則のリスクがある。
この記事でわかること
  1. アルバイト・パートにも残業代は出る(雇用形態は問わない)
  2. どんなときに・いくら出る?(割増賃金の種類と割増率)
  3. 残業代はいくら?日給・月給でも時給に換算して計算する
  4. 残業代は1分単位が原則(切り捨ては違法)
  5. 掛け持ちの場合は労働時間を通算する
  6. 「残業代が出ない」は違法 ── 会社のリスク
  7. 会社がとるべき対応
  8. よくある質問(FAQ)

アルバイト・パートにも残業代は出る(雇用形態は問わない)

労働基準法は、正社員・契約社員・アルバイト・パートといった雇用形態を区別せず適用されます。したがって、アルバイトやパートであっても、法律で定められた労働時間を超えて働けば、正社員と同じように残業代(割増賃金)が発生します。「非正規だから」「時給制だから」という理由で残業代を支払わなくてよい、ということはありません。

どんなときに・いくら出る?(割増賃金の種類と割増率)

アルバイト・パートの残業代(割増賃金)は、次の場合に発生します。割増率は正社員と同じです。

種類割増率内容
時間外労働1.25倍以上1日8時間・週40時間(法定労働時間)を超える労働
月60時間超の時間外1.5倍以上1か月の時間外が60時間を超えた部分(中小企業も2023年4月から適用)
深夜労働1.25倍以上午後10時〜午前5時の労働(時間外と重なれば合算)
法定休日労働1.35倍以上週1日の法定休日の労働
「法内残業」に注意
所定労働時間(契約上の勤務時間)を超えても、1日8時間・週40時間の範囲内であれば、割増(1.25倍)までは必要ありません(これを「法内残業」といいます)。ただし、働いた時間分の賃金(1.0倍)は当然に支払う必要があります。「8時間以内だから一切払わなくてよい」ではない点に注意してください。

残業代はいくら?日給・月給でも「時給」に換算して計算する

アルバイト・パートの残業代は、時給を基礎に計算します。求人で「時給◯円」と示されていればその時給が基礎ですが、「日給制」「月給制」でも残業代は発生し、次のように時給に換算して計算します。

賃金の形1時間あたりの賃金(基礎)の出し方
時給制時給の額がそのまま基礎になる
日給制日給 ÷ 1日の所定労働時間 = 時給換算
月給制月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間(1日の所定労働時間 × 月の所定労働日数)= 時給換算
計算例:日給7,000円・1日7時間の予定で、ある日10時間働いた場合
① 時給換算:7,000円 ÷ 7時間= 1,000円
② 法内残業(所定7h超〜法定8hまでの1時間):1,000円 × 1時間= 1,000円
③ 法定外残業(8h超の2時間):1,000円 × 1.25 × 2時間= 2,500円
その日の残業代(②+③)= 3,500円

「日給制だから」「決まった日給を払っているから」という理由で残業代を払わないのは誤りです。上の例のように、日給を時給に換算したうえで、法定労働時間を超えた分には割増(1.25倍)を付けて支払う必要があります。

残業代は1分単位が原則(切り捨ては違法)

労働時間は、1分単位で正確に計算するのが原則です。「15分未満は切り捨て」「30分単位で切り捨て」といった、日々の労働時間を会社に都合よく切り捨てる処理は、賃金の全額払いの原則に反し違法です。タイムカードの打刻を分単位で管理していれば、その分をきちんと支払う必要があります。

例外的に認められる端数処理
例外として、1か月の時間外労働・深夜労働・休日労働の各合計時間に1時間未満の端数が生じた場合に、30分未満を切り捨て・30分以上を1時間に切り上げる処理は、事務簡便のため認められています。あくまで「1か月の合計」に対する調整で、日ごとの切り捨ては認められません。

掛け持ちの場合は労働時間を通算する

アルバイトを掛け持ちしている(複数の勤務先で働いている)場合、労働基準法では、事業場が異なっても労働時間を通算するとされています(労働基準法38条1項)。そのため、複数の勤務先の労働時間を合計して1日8時間・週40時間を超えると、割増賃金の問題が生じ得ます。自社より後に労働契約を結んだ事業主などが割増賃金の支払義務を負うと整理されるのが一般的で、採用時に他社での勤務状況を確認しておくことがトラブル防止になります。

「残業代が出ない」は違法 ── 会社のリスク

「アルバイトには残業代を出さない」「割増賃金はつけない」といった運用は違法です。残業代の未払いがあると、会社は次のようなリスクを負います。

  • 未払いの残業代を、時効にかからない直近3年分までさかのぼって請求される
  • 訴訟では、未払額と同額を上限とする付加金を命じられることがある
  • 労働基準法違反として労基署の是正勧告を受け、悪質な場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

実際に残業代を請求されたときの対応は、残業代請求を受けたときの会社側対応|初動・証拠・反論・解決までの実務フローで解説しています。付加金については付加金(ふかきん)とは?をご覧ください。

会社がとるべき対応

アルバイト・パートの残業代トラブルを防ぐには、正社員と同じく労働時間を1分単位で正確に記録・管理し、割増賃金を適切に計算して支払うことが基本です。あわせて、残業の事前申請制を採り、不要な残業を抑える運用や、就業規則・雇用契約書で労働時間や割増賃金の扱いを明確にしておくことが、紛争予防につながります。

そもそも残業を命じるには「根拠」が必要
アルバイトに残業(時間外・休日労働)を命じるには、36協定(労働基準法36条にもとづく労使協定)の締結・届出と、就業規則や雇用契約書に「業務上の必要があるときは残業を命じることがある」旨の定めがあることが必要です。これらがないまま命じた残業命令は無効です。ただし注意したいのは、根拠がないまま実際に残業させてしまった場合でも、働かせた分の割増賃金は支払わなければならないという点です。「協定がないから払わない」は通用しません。

よくある質問(FAQ)

アルバイトやパートに残業代は出ますか?
出ます。労働基準法は雇用形態を問わず適用されるため、アルバイト・パートでも1日8時間・週40時間を超えて働けば、正社員と同じように残業代(割増賃金)が発生します。
残業代は何分単位で計算しますか?15分切り捨ては違法ですか?
1分単位が原則です。日々の労働時間を15分・30分で切り捨てる処理は違法です。例外として、1か月の時間外・深夜・休日労働の各合計時間の1時間未満の端数を30分未満切り捨て・30分以上切り上げする調整のみ認められています。
8時間以内の残業でも賃金は必要ですか(法内残業)?
必要です。所定労働時間を超えても8時間以内であれば1.25倍の割増までは不要ですが、働いた時間分の賃金(1.0倍)は支払う必要があります。
アルバイトを掛け持ちしている場合はどうなりますか?
労働時間は事業場が異なっても通算されます(労働基準法38条1項)。複数の勤務先の労働時間を合計して1日8時間・週40時間を超えると、割増賃金の問題が生じ得ます。採用時に他社での勤務状況を確認しておくと安心です。
日給制・月給制のバイトでも残業代は出ますか?計算はどうしますか?
出ます。日給制なら「日給÷1日の所定労働時間」、月給制なら「月給÷1か月の平均所定労働時間」で時給に換算し、それを基礎に残業代を計算します。「日給で決まっているから残業代は出ない」という扱いは誤りです。
パートも同じ扱いですか?
同じです。パートタイマーも労働者であり、法定労働時間を超えれば正社員と同じ割増率で残業代が発生します。

初回相談30分無料/電話・LINE・ウェブで相談可能

アルバイト・パートの残業代の扱いでお困りではありませんか?

労働時間の管理・割増賃金の計算から、残業代を請求されたときの対応まで、企業経営者の立場で弁護士がサポートします。

アルバイトやパートにも、正社員と同じように残業代は発生します。1分単位での正確な計算、8時間・週40時間や深夜・休日の割増、掛け持ちの通算など、押さえるべき点は少なくありません。残業代の管理や請求への対応でお困りの場合は、早めに弁護士へご相談ください。当事務所では初回相談30分無料でお受けしています。

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