債権回収

債権回収とは

債権回収とは、支払義務を負っている相手方から、その支払いを回収するための企業活動をいいます。対象となる債権には、売掛金、貸付金、請負代金などの企業間取引に関係する債権もあれば、個人間の金銭の貸し借りに関する債権もあります。

債権回収が問題となるケースとは、相手方の事業不振により連絡が取れなくなった、理不尽なクレームを主張して売掛金の支払をしないなど様々な事情によります。いずれにおいても、債権回収の問題が顕在化すれば、できる限り速やかな対応が重要となります。

債権回収の方法

債権回収については大きく分けて「交渉による債権回収」と「裁判手続による債権回収」の2つのパターンがあります。それぞれ手続方法も異なりますので、しっかりと理解をしたうえでどのような手続きを行うか判断する必要があります。

交渉による債権回収

支払義務を負っていた相手方が支払いに応じない、連絡を受けない場合には、交渉による債権回収を図ります。
債権回収を行う場合には、債権回収の実効性を確保するためにも、早期の段階で弁護士に相談し、弁護士を通じた債権回収に着手することをお勧めします。

なお、相手方の資産状況や事業の運営状況によっては、交渉を省略して、いきなり仮差押えや訴訟提起等の裁判手続を行うこともあります。

①通知書の送付

弁護士に依頼する場合、支払を求める通知書を内容証明郵便により送付します。無用に時間をかけてしまうと、債権の回収がかえって困難となるリスクがあります。そのため、予め目標とする時間を設定しておき、これを超えそうであれば速やかに次の手続に移行させます。

②交渉

通知書の送付後、支払額や支払方法について、相手方と交渉します。相手方の資産状況等を十分に考慮しながら、支払条件の調整を図っていきます。早期解決を重視するケースでは、支払額や支払回数などの諸条件については、一定程度の譲歩を求められることもあります。

③合意書の作成

交渉の末、支払条件の調整ができれば、合意書を作成します。合意書は、万が一債権回収ができない状況に備えて、漏れのないよう適切な内容であることが必要です。また、合意成立後に相手方が支払を滞納させた場合、迅速に強制執行等による回収が図れるよう、公正証書を作成できる場合には、これを作成しておくことを推奨します。

裁判手続による債権回収

①仮差押え

相手方との交渉が頓挫してしまった場合、裁判手続を通した債権回収に移行させます。
しかし、訴訟手続を通じた債権回収には、一定程度の時間を要します。そのため、裁判所の判決が出るまでに、相手方が資産を隠したり、他の債権者によって債権回収されてしまうことで、十分に債権回収できなくなるリスクがあります。

そこで、将来における債権回収失敗のリスクを回避するために、予め相手方の預貯金や不動産などの資産を処分できないように保全させる仮差押えをすることがあります。ただ、仮差押えにあたっては、保全する債権の金額や対象となる資産の評価額に応じた担保を供託する必要がありますので注意を要します。

②訴訟提起

相手方を被告とした訴訟を提起して、売掛金等の債権回収を図ります。訴訟手続は、1か月半から2か月に一度しか裁判期日が行われず、また、主張反論の機会は、ワンターンずつ行われます(つまり、次回は原告側が書面を提出した後、次々回は被告側が書面を提出する)ので、解決まで想像以上に時間を要しますので、留意を要します。

大部分のケースでは、裁判上の和解により解決が図られます。和解ではなく判決による場合、控訴や上告により、より一層時間を要することもあります。また、和解による解決の場合、相手方の資力に応じた柔軟な条件で合意されるため、確実な回収が期待されます。さらに、和解の場合、代表者の個人保証を付けることができるケースもあり、万が一の際の回収可能性を高めます(他方で判決の場合には代表者保証を付けることはできません。)。

③少額訴訟

少額訴訟手続とは,60万円以下の金銭の支払を求める場合に限って利用できる簡易な訴訟手続です(民事訴訟法第368条第1項)。管轄裁判所は、簡易裁判所になります。
少額訴訟では、原則として一回の審理で終結させ、即日判決がなされますので、通常の訴訟手続と比べて、かなり迅速な手続といえます。しかし、相手方が①最初の期日までの間に、少額訴訟ではなく通常訴訟に移行するよう求めた場合②判決を受けてから2週間以内に異議の申立てをした場合には、通常の訴訟手続に移行します。そのため、この場合には早期の解決は困難となることが多いです。

④支払督促

金銭の支払いや代替物の引き渡しを求める場合に、書類審査のみで、簡易裁判所の裁判所書記官から債務書に対して支払い等を命じるものです。通常訴訟や少額訴訟のように裁判期日が開かれることがなく、書面審査のみが行われますので、手続は最も迅速な裁判手続といえます。
しかし、少額訴訟と同様、相手方が支払督促に対し異議を申し立てると、地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行することになります。

⑤強制執行

判決や公正証書の作成以後、相手方が判決等に従った支払をしない場合には、強制執行による債権回収を行います。なお、ここには、裁判上の和解は含まれますが、裁判所外の公正証書ではない合意は含まれません。裁判所外の合意しかない場合には、公正証書を改めて作成するか、上述しました裁判手続を通じて確定判決を得なければ、強制執行をすることはできません。

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