モンスター社員をやめさせるための取るべき対応8選|焦って解雇するのは辞めて!

「モンスター社員がいるのだが、解雇しても良いのだろうか」

「まったく命令に従わないモンスター社員がいるのだが、解雇しても問題ないのだろうか」

と気になりませんか。

結論から言えば、正当な手順を踏まずに、正社員を解雇することは非常に難しいと言わざるを得ません。もしも社員を解雇すれば、裁判や労組(ユニオン、社内労組)による団体交渉など、労働紛争が起こり、平常な勤務をすることはできなくなる可能性が高いです。

今回は、モンスター社員を辞めさせる方法や、解雇が認められるための手順について解説します。

モンスター社員に悩んでいる方はぜひ、最後まで読んでいって下さい。

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モンスター社員をやめさせるためには

モンスター社員を退職させるためには、適切な手続きを踏む必要があります。

なぜなら、手続きを省略して解雇すると、不当解雇とみなされて金銭的な負担が生じる可能性が高まるからです。

まず、問題の把握が重要です。具体的にモンスター社員の問題を把握し、詳細な記録を文書に残すことが求められます。次に、問題を指摘し、改善のための指導やフィードバックを行います。これも文書で記録しましょう。

問題が解決されない場合は、面談を通じて改善策を共有し、再度文書に残します。

さらに、問題が改善されない場合には、口頭や文書で警告を行い、懲戒処分を科すことがあります。これも文書に記録することが重要です。

全ての手続きを踏んだ後も改善が見られない場合は、退職に向けた措置が検討されます。

この段階でも、法的な手続きを遵守して行動することが重要です。つまり、正当な手続きに基づかない解雇はできない、ということです。

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モンスター社員の特徴8つ

モンスター社員は以下の特徴を有しています。それぞれについて解説します。

【モンスター社員の特徴8つ
・上司や従業員に対する暴力・暴言
・業務命令に従わない
・セクハラ・パワハラ
・遅刻・無断欠勤を繰り返す
・社内不倫
・犯罪行為
・能力不足

上司や従業員に対する暴力・暴言

モンスター社員が上司や同僚に対して暴力や暴言を行う特徴的な行動は、侮辱的な言葉や攻撃的な暴言、身体的な手段による暴力、仕事の妨害やチームワークの悪化、不当な圧力、そして感情の爆発です。

例えば、製造現場で気に入らない上司に対してスパナを投げつけ、機械に顔面を叩きつけるといった行為です。これらの行動は職場環境に深刻な悪影響を及ぼします。

業務命令に従わない

モンスター社員は、会社の業務方針や上司の指示に故意に従わない傾向があります。

これは単なるミスやコミュニケーションの不足ではなく、仕事の進行やチームの協力を妨げ、組織の円滑な運営に悪影響を及ぼします。

典型的な行動としては、業務指示を拒否する、仕事を適切に遂行しない、締め切りを守らない、責任逃れをする、などが挙げられます。

最悪の場合、朝一番から喫煙所に行き、喫煙所やトイレで眠るなどして1日を過ごし、定時を過ぎてから残業代を貰うために仕事をするといった具体的な行為が見られます。

これにより、他の従業員やチーム全体が迷惑を被り、業績や効率性が低下する可能性があります。企業はこうした問題行動に対して早急に対処し、適切な措置を講じる必要があります。

セクハラ・パワハラを頻繁に行う

モンスター社員によるセクハラやパワハラは、職場に大きな悪影響を及ぼす行為です。

同僚に対して性的なジョークや不適切な発言を繰り返し、上下関係を利用して部下を侮辱するような態度を取ることで、職場のコミュニケーションや協調性が損なわれてしまいます。例えば、未婚の女性社員に対して既婚者である他の男性社員の子供の写真を見せ「お前も早く子供を産んで辞めろよ」などといった言葉をかけるようなことです。

遅刻・無断欠勤を繰り返す

モンスター社員の特徴は、遅刻と無断欠勤を繰り返すことです。

定刻出勤や業務日程に対して無頓着で、遅刻や無断欠勤が頻発しています。仕事に対する責任感が薄く、他の従業員やチームに迷惑をかけるばかりか、職場全体の生産性にも悪影響を与えています。上司からの指導や注意にも関わらず改善の兆しを見せず、組織の規律を乱す可能性が高まっています。

社内不倫を繰り返す

職場内で他の同僚との不適切な関係を築き、社内不倫を繰り返すことも、モンスター社員の特徴の一つです。

その行動は組織のモラルや倫理観に反し、職場全体の雰囲気を悪化させています。

ただし、注意点として、仮に社内で性行為に及ぶような出来事があり、その証拠をとらえたとしても、自己都合退職をお願いする方が穏便です。

犯罪行為

モンスター社員の特徴は犯罪行為に抵抗がないことです。

業務中に不正行為を行い、他の従業員や組織に損害を与えています。具体的には、横領や詐欺行為などの違法行為に手を染めており、これが組織にとって大きなリスクとなっています。

組織はこれに対処するためには法的な手続きや対策を講じる必要があります。ただし、決定的な証拠をつかんでいたとしても解雇には慎重になりましょう。手続きを踏むことを忘れないでください。

能力不足

能力不足のモンスター社員の特徴は、スキルが致命的に不足していることです。業務において基本的なスキルや知識が不足しており、仕事の遂行が困難となっていることが多いです。

ミスや誤りが頻発し、仕事の効率が低下しているため、組織の業績やプロジェクトに悪影響を及ぼします。

他の従業員やチームがサポートせざるを得ない状況が続き、組織全体の生産性が低下しています。

上司や同僚からの指導やフィードバックにも十分に応えられず、成長や改善の意欲が見られません。これにより、他の優秀な社員のモチベーション低下や組織の競争力の低下が懸念されます。

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モンスター社員を放置するリスク

モンスター社員を放置するリスクは、以下の通りです。

  • 職場環境を悪くする
  • モチベーションを下げて離職を招く
  • 取引先との関係を悪化させる

それぞれについて解説します。

職場環境を悪くする

モンスター社員は職場環境を悪くします。

なぜなら、モンスター社員が問題行動を続けると、組織全体の文化に悪い影響を与える可能性があるからです。

「あの社員がやっているのであれば、私がやっても問題ないだろう」と企業の風紀が乱れる可能性があるのです。健全な組織文化は効率的な業務遂行や従業員の幸福感に貢献しますが、これが崩れると問題が生じます。

モチベーションを下げて離職を招く

モンスター社員を放置することには、周囲の人々のモチベーションが低下し、離職を引き起こすリスクがあります。

なぜなら、モンスター社員が問題を引き起こすと、周囲の同僚やチームメンバーのモチベーションが低下する可能性があるからです。

職場にモンスター社員がいることで、他の従業員はストレスや不満を感じることがあります。この状況が悪化すれば、離職率が上昇する可能性があります。特に、組織が問題社員を放置する姿勢をとると、優秀な従業員が他の職場を求めることがあります。

取引先との関係を悪化させる

モンスター社員の放置の結果、取引先との関係が悪化します。

なぜなら、取引先に失礼な対応をすることがあるからです。例えば、納期を守らないことや、正当なクレームに対して攻撃的な対応をするといった正社員にあるまじき対応です。取引先からすればその正社員=その所属企業の代表者となります。つまり、会社全体の評判が貶められるということです。

モンスター社員を辞めさせるために取るべき対応

モンスター社員を辞めさせるために取るべき対応は、以下の通りです。それぞれについて解説します。

・問題行為を記録し証拠を残しておく

・注意指導を繰り返し行い記録する

・始末書・誓約書を作成する

・懲戒処分を行う

・退職勧奨する

・解雇する

問題行為を記録し証拠を残しておく

モンスター社員の問題行為については、具体的な事例や日時、関係者の証言などをきちんと記録し、証拠を集めておくことが重要です。

これによって、後の段階で正当な処分を行うための根拠を確保できます。ただし、常識的にあり得ない内容の証拠記録を残さないことです。よくあるのが「そんなのよくある話じゃないの」というような内容を、いかにも悪事のように書き立てる行為です。

この段階から社内に労務に詳しい社員が存在しない場合、弁護士に相談するようにしましょう。

注意指導を繰り返し行い記録する

問題行為が軽微な場合、まずは口頭での注意指導を行い、その都度、録音などで記録しておきます。

これによって、社員に改善の機会を与えつつ、慎重な対応が可能です。社員が戦力になることができるようにできることは尽くしたというスタンスが重要なのです。

口頭指導したときの記録は、録音して書き起こしをしておくようにしましょう。裁判所に提出する際には録音は書き起こして出すことになるため、書き起こしはしておきましょう。

始末書・誓約書を作成する

問題が改善されない場合、社員に対して始末書や誓約書の作成を求めることが考えられます。

これは問題行為の認識を促し、再発防止に向けた合意を形成するための手続きです。ただし、始末書を書いてもらう段階では就業規則に則って、正当な手続きの上で書いてもらうようにして下さい。場合によっては始末書を書かせる段階で正当性が満たされておらず、相手方の弁護士から内容証明や、ユニオン、社内労組から団体交渉の申し入れなどがくる可能性があります。

懲戒処分を行う

問題が継続する場合、懲戒処分を検討します。まずは懲戒処分ではない口頭注意、書面での注意をした上で、それでも改善されなければ減給、停職などの懲戒処分を行います。

順を追って軽い処分から重い処分を行い、並行して教育改善の機会を与えます。それでもなお、改善の見込みがなければ解雇手続きに移ります。ただし、モンスター社員の問題行為が非常に深刻で、会社に重大な不利益を及ぼすものであれば、段階を踏まずに解雇処分とすることもあります。

退職勧奨する

問題が改善されない場合や懲戒処分が十分でない場合、社員に対して退職を勧奨することが考えられます。退職勧奨は会社の権利でもあります。例えば、退職金の増額支給や、給与の半年分から1年分を支給して辞めてもらうという方法があります。社員が「それならぜひ退職したい!」と思える条件を掲示して、気持ちよく退職してもらえる方法を考えてください。ここまでが会社側が問題発生時に単独で対処できる最終段階です。この段階までであれば、従業員から退職届を受け取って穏便に退職してもらえる可能性があるからです。解雇の段階に至ると、弁護士による裁判や労組からの団体交渉申し入れ、団体交渉が決裂して労働委員会での700日にわたる長い戦いが起こる可能性があります。むしろ、今どき解雇されて黙っているような人は減っていると考えてください。裁判の対応は弁護士にしかできませんし、労務に詳しい社員がいない場合、労働組合や労働委員会の対応も弁護士抜きでは現実的にはできません。

解雇する

最終手段として、問題行為が継続し、改善の見込みがない場合には解雇を検討します。

ただし、解雇は労働者にとって重大な処分ですから、解雇するにあたっては慎重に判断するべきです。

労働契約法16条において、客観的に見て合理的な理由を欠き、社会通念上相当であることを解雇の条件として規定されています。

先述した問題行動の記録、注意指導の記録、始末書の作成、懲戒処分、退職勧奨という全てを行っても必ず解雇が認められるというものではありません。社会通念上相当という部分ですが、解雇処分が労働者にとって重すぎないことが求められます。問題行為の悪質さ、処分歴、反省の有無等を踏まえて、やむを得ないと言える場合には相当な処分と判断されます。

不当解雇により生じる不利益

不当解雇により生じる不利益は、以下の通りです。

・労働紛争に巻き込まれる

・解雇期間の給与を支払う義務を負うリスクがある

・会社の評判を低下させる

それぞれについて解説します。

労働紛争に巻き込まれる

不当解雇により生じる不利益として、労働紛争に巻き込まれるというリスクがあります。

なぜなら、解雇は様々な労働紛争の原因の中でも、最も大きな火種となるからです。例えば、労働審判や裁判、労働組合(ユニオンや社内労組)からの団体交渉などがあります。

また、裁判の前哨戦として、団体交渉が労働組合から申し込まれる可能性があります。他にも、労働局によるあっせん、団体交渉が不調に終わった場合、労働委員会による救済申し立てなどがあります。

労働審判が3か月から6か月、裁判が1年以上、団体交渉も解決するまで続きます。長期間にわたり、裁判所や労働組合の団体交渉、労働委員会の審議に呼び出され続ける日々が続く可能性があるという認識をしてください。また、経営者側は「裁判なんてお金がかかるから労働者側は起こせないだろう」と思いこんでいることがありますが、それは間違いです。労働者側が解雇裁判を起こす場合、収入が途絶えていることもあり、着手金ほとんど(0円から4万円以下というケースもあります)取らない弁護士も存在します。また、労組の加入費なども月1000円程度のものであり、あっせんや労働委員会なども労働者側に金銭的な負担はほぼありません。そのため、従業員を解雇したら、一気に問題が起こると考えておきましょう。

解雇期間の給与を支払う義務を負うリスクがある

解雇期間の給与を支払う義務を負うリスクがあります。なぜなら、バックペイの支払い義務を負う可能性があるからです。

バックペイとは、解雇したときにその解雇が不当なものであると裁判所が認めた場合に、解雇期間中の給与を全て支払うことです。例えば、月給30万円の社員と1年間裁判を争い、会社が負けたら、360万円を支払う必要性があるのです。

また、解雇には仮の保全命令というものもあります。これは、裁判中に解雇された従業員に対して、その係争期間中に経済的に困らないように裁判中の給与を会社に支払うように命令することです。条件が細かくあり、認められない場合もあります。つまり、解雇して人件費が浮くかと思いきや、解雇した従業員に対して給与を支給しなければならないということです。

会社の評判を低下させる

解雇は会社の評判を損ないます。なぜなら、解雇が大きな話題になると、それがメディアやソーシャルメディアを通じて広まる可能性があるからです。

社会の注目を浴びることで、企業の評判に悪い影響を及ぼすことがあります。たとえ知名度の低い会社であっても、解雇の内容が悪質であることや、不当であれば、注目を浴びることになります。

解雇は話題になりやすい重大な行為であり、人材採用にも悪影響を及ぼしかねません。

モンスター社員の対応は弁護士に相談を

モンスター社員を放置することは社内の雰囲気を悪くし、結果的に、業務効率の悪化を招きます。かといって、無計画な解雇処分をしてしまうと、代理人弁護士から連絡が届き、パックペイ等の経済的負担を強いられます。それ以外にもたくさんの負担も生じます。

モンスター社員の対応はあらかじめ弁護士に相談しましょう。

初回相談30分を無料で実施しています。面談方法は、ご来所、zoom等、お電話による方法でお受けしています。

お気軽にご相談ください。対応地域は、大阪難波(なんば)、大阪市、大阪府全域、奈良県、和歌山県、その他関西エリアとなっています。