- 退職勧奨に応じた退職は会社都合ですか、自己都合ですか?
- 原則「会社都合」退職です。会社側から退職を持ちかけて労働者が応じた結果の退職は、自発的な自己都合ではなく特定受給資格者として扱われ、失業給付の給付制限(2〜3か月の待期)なし・給付日数優遇の対象になります。会社が「自己都合」で処理した場合、労働者はハローワークで異議申立てが可能です。
- 会社側が「会社都合」で処理すると何が起きる?
- ①助成金の支給停止・返還リスク(キャリアアップ助成金・雇用調整助成金等の対象外に)、②労働局への報告義務、③会社のハローワーク・行政指導リスクが発生します。ただし「自己都合として偽装」は違法で、労働者からの慰謝料・追加給付請求のリスクがあります。「事実通り会社都合で処理」がコンプライアンス上の正解です。
- 離職票の離職理由はどう書く?
- 退職勧奨に応じたケースは離職票の離職区分「4D」(会社都合/退職勧奨)で記載します。「1A」(解雇)や「2A」(自己都合)ではありません。書き方を誤ると会社側の助成金停止+労働者側の受給遅延の両方の不利益が生じます。実務では退職勧奨→合意→離職票交付まで一連の書式・記録を整えるのが必須です。
結論から。会社が退職を勧め、社員がこれに応じて退職する「退職勧奨」による離職は、原則として「会社都合退職」として扱われます。社員は失業給付で有利(給付制限なし・所定給付日数が長い)になる一方、会社は一部の助成金が一定期間受給できなくなることがあります。離職票の離職理由は実態どおり記載し、勧奨は「退職強要」にならない範囲で進めることが重要です。
退職勧奨で辞めてもらうと「会社都合退職」になりますか?
はい。退職勧奨に応じた退職は、会社からの働きかけによる離職として、原則「会社都合退職」になります。社員は雇用保険上の特定受給資格者に該当し得て、失業給付を早く・長く受けられます。会社側は、離職票の離職理由を正確に記載する必要があり、一部の助成金の受給に影響が出ることがあります。なお、退職勧奨に応じた退職は「解雇」ではなく合意退職なので、解雇予告手当は不要です。
退職勧奨とは(解雇との違い)
退職勧奨とは、会社が社員に退職を勧め、社員の合意を得て労働契約を終了させることをいいます。あくまで社員の任意の合意による退職である点が、会社が一方的に労働契約を終了させる「解雇」との決定的な違いです。合意退職であれば、解雇のような厳格な要件(解雇権濫用法理・労契法16条)や解雇予告の適用はなく、不当解雇トラブルを避けやすいメリットがあります。
退職勧奨による退職が「会社都合」になる理由
雇用保険では、離職の理由によって受給できる失業給付の内容が変わります。退職勧奨は会社側の働きかけによる離職のため、労働者は特定受給資格者(会社都合退職)として扱われるのが原則です(雇用保険法23条)。自分の意思で辞める「自己都合退職」とは、給付の条件が大きく異なります。
会社都合退職と自己都合退職の違い
失業給付(基本手当)の主な違いは次のとおりです。会社都合(特定受給資格者)は、給付制限がなく、受け取れる日数も長くなります。
| 項目 | 会社都合(特定受給資格者) | 自己都合 |
|---|---|---|
| 給付制限 | なし(7日間の待期のみ) | 待期後、原則1か月(2025年4月改正で2か月→1か月に短縮) |
| 所定給付日数 | 長い(年齢・被保険者期間により手厚い) | 短め |
| 受給開始の早さ | 早い | 給付制限の分だけ遅い |
| 国民健康保険料 | 軽減の対象になる場合がある | 原則対象外 |
※所定給付日数・受給資格の詳細は、年齢・被保険者期間・離職理由により異なります。正確な取扱いはハローワークにご確認ください。
会社側が知っておくべき「会社都合退職」の影響
一部の助成金が受給できなくなることがある
会社都合の離職者(事業主都合による退職)を出すと、キャリアアップ助成金など一部の助成金が、一定期間受給できなくなることがあります。退職勧奨を行う際は、この影響も踏まえて判断し、勧奨の事実と本人の合意を書面・記録に残しておくことが大切です。
離職理由を実態と偽らない
助成金への影響を避けたいなどの理由で、実際は退職勧奨なのに離職票を「自己都合」と偽って記載するのは避けてください。離職者はハローワークで離職理由に異議を申し立てられ、実態と異なる記載は後日のトラブル・不正受給の問題につながります。
離職票の離職理由の書き方
離職票の離職理由欄には、実態どおり「事業主からの働きかけによる退職(退職勧奨)」に当たる区分を記載します。離職理由によって受給資格や給付日数が変わるため、正確な記載が必要です。離職者は離職理由に対して異議の有無を記入でき、事業主の記載と食い違う場合はハローワークが事実を確認します。
退職勧奨を進める際の注意点(退職強要はNG)
退職勧奨はあくまで任意退職を促すものです。社員が明確に拒否しているのに、執拗・威圧的に勧奨を繰り返すと、「退職強要」として不法行為(民法709条)にあたり、慰謝料などの損害賠償責任を負うおそれがあります。
- 面談の回数・時間・人数を過度にしない(長時間・多人数での取り囲みは避ける)
- 侮辱的・威圧的な言動、虚偽の説明をしない
- 本人が明確に拒否した後は、執拗な勧奨を続けない
- 勧奨の日時・内容・合意を記録に残す(合意退職なら退職合意書を取り交わす)
下関商業高校事件(最高裁 昭和55年7月10日判決)
退職勧奨自体は違法ではないものの、その回数・方法が社会通念上の限度を超えると違法となり得ることを示した事例です。勧奨は相当な範囲にとどめる必要があります。
よくある質問
退職勧奨に応じた退職は必ず会社都合になりますか?
会社都合退職にすると会社にデメリットはありますか?
自己都合と会社都合で失業給付はどのくらい違いますか?
退職勧奨を断られたら解雇してよいですか?
退職勧奨が「退職強要」になるのはどんな場合ですか?
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本記事は一般的な情報提供であり、個別の事案の法的判断ではありません。失業給付の受給資格・助成金の該否は事案・時点により異なります。雇用保険・助成金の手続はハローワークや社会保険労務士に、法的判断は弁護士にご相談ください。最終監修:南 宜孝 弁護士(大阪弁護士会)。
