銀行口座の差押えで債権回収を成功させる手順とポイントを弁護士が解説

更新日: 2026.02.27
, , , 債権回収, 銀行預金の差押え 差押えの注意点とは, , 口座差押えの手続きを解説

債権回収において、銀行口座の差押えは非常に有効な手段の一つです。しかし、手続きは複雑で、時間もかかるため、確実な知識と準備が欠かせません。

この記事では、債権者の皆様が差押えを成功させるために、全手順と重要なポイントを徹底解説します。 差押えの銀行口座を特定する方法から、裁判所への申立て、差押え後の手続きまで、具体的なステップを網羅的にご紹介。

さらに、債権を回収する上で注意すべき点や、弁護士に依頼するメリットについても詳しく解説します。この記事を読めば、法的知識がなくても、自信を持って債権回収に取り組めるはずです。ぜひ、最後までお読みください。

初回相談30分無料

無料相談
ご予約はこちら

【電話相談受付中】

受付時間 9:00〜22:00

【来所不要・土日祝も対応】

電話・LINE・ウェブでの相談可能です
1人で悩まずに弁護士に相談ください

差押えの基礎知識

銀行口座の差押えに関心がある方は多いですが、その手続きや条件について正確な情報を持っている方はそれほど多くありません。そこでまず差押えの基本的なことから理解していくことが大切です。

差押えとは何か?

差押えとは、債権者が裁判所に申し立てを行い、債務者の財産の処分を禁止した上で、強制的にその財産から借金の返済を受ける仕組みです。

差押えが可能な財産は、現金や銀行口座にある預金のほか、不動産や車など多岐にわたります。

ただ、差押えをするためには、確定判決や公正証書などの債務名義(さいむめいぎ)を持っていることが必要です。その上で、この債務名義を根拠として、裁判所に対して差押命令の申し立てを行います。裁判所から差押命令が発令されると、債務者の同意なしに、法律に基づき強制的に預金などの財産が取り立てられます。これにより、債権者は法的に認められた方法で、貸し付けた金銭等の債権を回収することが可能になります。

「口座凍結」との違い

銀行口座の「差押え」と混同されやすい手続きに「口座凍結」があります。口座凍結は、主に金融機関が自身の判断で行う措置であり、差押えとはその目的と主体が大きく異なります。

口座凍結は、預金口座の名義人が亡くなった場合や、口座の不正利用が疑われる場合などに実施されます。また、借入金の返済が滞り、債務整理の受任通知を金融機関が受け取った際にも、自らの債権を保全する目的で口座が凍結されることがあります。口座凍結は、口座差押えとは異なり、債務名義の取得や裁判所への申立てなどを経ずに行うことができます。

一方、預金口座の差押えは、裁判所の差押命令に基づいて債権者が債務者の預金を強制的に回収する法的手続きを指します。差押手続きの過程で、預金口座内の預金の引き出しが請求債権額の範囲内で制限されることはありますが、その他の入出金を行うことはできます。

差し押さえが必要なケースとは

口座凍結

差押えは、支払義務を負っている債務者が任意に支払いをしない場合に行います。

これらの金銭債権を債務者が任意に支払わない場合には、滞納処分を除き、裁判所の行う差押手続きを行わなければ回収できません。日本では、裁判所の手続きによらずに強制的に債権回収をする自力救済が禁止されていますので注意しましょう。

カードローンやキャッシングなどの返済滞納

消費者金融や銀行のカードローン、クレジットカードのキャッシング利用分の返済を長期間滞納すると、銀行口座が差し押さえられる典型的な原因の一つとなります。返済が滞ると、まず信用情報機関に事故情報が登録されるケースがほとんどです。一般的に、2〜3ヶ月程度の遅れで登録されるとされています。この状態が続くと、債権者である貸金業者は法的な手段を講じ始めます。

税金や国民健康保険料などの滞納

住民税、所得税、固定資産税、自動車税といった税金や、国民健康保険料、国民年金保険料などの「公租公課」の滞納も、銀行口座が差し押さえられる主要な原因となります。特に自営業者や副業をしている会社員の方にとって、これらの税金や保険料の支払いが滞るケースも少なくありません。

私的な借金などの債務とは異なり、税金や国民健康保険料の滞納による差し押さえは、原則として裁判所の手続きを経ずに「滞納処分」として行うことができる点で大きな特徴があります。

実際に差し押さえが実行されるまでに数カ月程度の猶予があるケースも多いですが、安易に考えていると、ある日突然預金口座が差し押さえられるおそれがあるため、注意しなければなりません。

養育費や慰謝料などの不払い

離婚時に、裁判所の調停や審判、あるいは公正証書によって取り決められた養育費や慰謝料が支払われない場合、それは銀行口座の差し押さえを受ける可能性があります。これらの法的な手続きを経て作成される調停調書や審判書、公正証書などは「債務名義」として扱われるため、預金口座の差押えが可能となります。

スマート顧問

銀行口座差押えの流れ

差押えの手続は、裁判所を通じて債務者の預金口座から強制的に回収するもので、一定の流れに沿って進められることになります。差押えは、一連のステップを経て、最終的に債務者が保有する預金を債権者が回収する形で実現します。

督促する

まず最初のステップは、債務者に対して債権の支払いを督促することから始まります。最初は、電話や請求書の送付によって督促を行いますが、それでも応答がなければ、内容証明郵便を用いて未払金の支払いを強く督促します。

債務名義を取得する(訴訟提起、少額訴訟、支払督促)

銀行口座を差し押さえるためには、債務名義が必要になります。

債務名義とは法律用語であり、確定判決、支払督促、公正証書等がこれに含まれます。

確定判決には、通常訴訟による確定判決だけでなく少額訴訟による確定判決も含まれています。支払督促とは、債務者に対して金銭の支払等をするよう督促する裁判所書記官の処分を言い、これも債務名義となります。

支払督促や少額訴訟といった簡易なプロセスで債務名義を取得し、債務名義を速やかに取得することが重要となります。

差し押さえを申し立てる

債務名義を取得した後、債権者は裁判所へ差押えの申立てをします。債務名義のほか、債権差押命令申立書、確定証明書、送達証明書などの書類を準備して裁判所に提出することが必要です。

また、郵便切手や収入印紙を購入して、裁判所に納付する必要があります。

第三債務者と債務者に差押命令が送達される

裁判所の差押命令が出された後、第三債務者である銀行に差押命令の正本が送達されます。銀行が差押命令を受け取ってから1週間後に債務者に対しても差押命令が送達されます。これにより債務者は、自分の口座が差し押さえられた事実を知ることになります。

銀行口座から取り立てる

債務者が差押命令を受け取ってから1週間を過ぎると、債権者は銀行口座からの取り立てを行うことができます。ただし、差押命令の通知時点で銀行口座の残高がない場合や少ない場合には、債権回収をすることはできません。

初回相談30分無料

無料相談
ご予約はこちら

【電話相談受付中】

受付時間 9:00〜22:00

【来所不要・土日祝も対応】

電話・LINE・ウェブでの相談可能です
1人で悩まずに弁護士に相談ください

預金口座を差し押さえる時の注意点

預金口座の差押手続きにはいくつかの注意点があります。十分な調査や計画をもって行わないと、差押手続きが空振りとなり債権回収できないこともあります。

預金口座の調査を行う

預金口座の差押えをする前に債務者名義の口座情報を調査する必要があります。債務者の口座情報を調べる方法には、弁護士会照会(23条照会)、財産開示手続き、第三者からの情報取得手続きがあります。いずれも債務名義を得ていることが必要となります。

弁護士会照会

弁護士会を通じて金融機関に対して、債務者名義の口座の有無を調査する手続きを言います。

弁護士会照会をするためには、弁護士への委任が必要となります。また、いわゆるメガバンクとゆうちょ銀行であれば、支店の特定をせずに照会することができます。

財産開示手続き

財産開示の手続きは、債務者によって預貯金口座を含めた自らの財産を報告する手続きです。債務者が財産開示に応じない場合、債務者は6ヶ月以上の懲役または50万円の罰金の制裁を受けることになります。

ただ、債務者自身が財産状況の開示をしなければ、口座情報を得ることができません。また、財産開示に応じない場合の制裁が以前よりも強化されましたが、未だ不十分であるため実効性が十分とはいえません。

第三者からの情報取得手続き

第三者からの情報取得により、裁判所を通じて、金融機関から債務者の口座の有無や残高等の情報を得ることが出来ます。第三者からの情報取得手続きであれば、メガバンク以外の金融機関も含めて、支店を特定する必要がない点で、弁護士会照会とは異なります。ただ、第三者からの情報取得手続きを利用すると、債務者自身に情報提供通知がされるため、速やかに差押手続きに着手することが必要となります。

入金時期に合わせて預金を差押える

預金口座の入金時期に合わせて差押えを行うことが必要です。

差押時点で残高不足であれば、預金口座からの取り立てができません。

そのため、銀行口座の差押えをする際には、給料日や賞与の支給日、年金の支給日など、入金が予測される時期を見計らい差し押さえを行うことで、空振りを防ぐことが必要です。

銀行口座を差し押さえたらすぐに銀行に取り立てをする

銀行口座の差押えができれば、速やかに銀行宛に取り立てを行うべきです。

なぜなら、債務者が破産申立てをして破産開始決定が出されると、差押手続きは中止することになるからです。また、破産申立てがされなくても、弁護士による自己破産の受任通知を受け取った後に取り立てをすると、偏頗弁済(へんぱべんさい)となり、回収したお金を返還しなければならなくなる可能性があります。

そのため、差押えをした後は、速やかに取り立てをして債権の回収を行うべきです。

相手方が自己破産した場合の対応

債務者が自己破産手続を開始した場合、破産法に基づき、個別の債権者による銀行口座の差押えを含む強制執行は原則として禁止または中止されます。これは、全ての債権者へ公平に財産を分配することを目的としているためです。

仮に、自己破産手続の開始前後にすでに差押えが完了し、債権を回収していたとしても、その効力が否定されるケースがあるため注意が必要です。債権回収の効力を否定する権利を否認権といいますが、破産管財人が否認権を行使すると、債権者は回収した金銭を返還しなければなりません。

給与差押えと銀行口座差押えの違い どう使い分けるべきか

給与差押えと銀行口座差押えは債権回収の手段として用いられますが、それぞれ異なる特徴があります。

差押えできる回数が違う

給与差押えは、債務者が勤務先に所属している限り毎月継続して行うことができます。つまり、債務の完済に至るまでの期間、安定した回収が見込める手段です。

一方で、銀行口座差押えは差押えの手続きを行った時点での口座残高に対してのみ執行されるため、基本的には一度きりの実施となります。

給与以外は差押額の制限はない 

銀行口座の差押えの金額には制限がありません。

給与の差し押さえであれば、手取り給与の4分の1までしか差押えできません。請求債権が養育費や婚姻費用であれば、手取り給与の2分の1が差押えの限度額となります。

他方で、銀行口座の差押えに関しては、特に差押額の制限が設けられていません。したがって、銀行口座を差押える場合はその時点での口座残高全額が対象となることから、債務者の資産状況によっては給与差押えよりも多くを一度に回収することができる場合もあります。

初回相談30分無料

無料相談
ご予約はこちら

【電話相談受付中】

受付時間 9:00〜22:00

【来所不要・土日祝も対応】

電話・LINE・ウェブでの相談可能です
1人で悩まずに弁護士に相談ください

弁護士に依頼するメリット

弁護士に差押えの手続きを依頼することには、数多くのメリットがあります。その中でも特筆すべき点は、法律の専門的な知識を有する弁護士が携わることで、相談から強制執行に至るまでのプロセスがスムーズに進む点です。 

法律相談を利用するタイミングと効果

できるだけ早い段階で弁護士による法律相談を利用することが望ましいです。

早い時期に専門家の意見を聞くことで、自身のケースが差押えに適しているのか、どのような手続きが必要になるのかを明確に把握できます。そして、弁護士のアドバイスによっては、差押え以外の解決方法を見いだすこともあります。

銀行口座を調査できる

弁護士に依頼することで、銀行口座を効果的に調査することが可能です。債務者の資産状況を把握することは、差押えにおいて極めて重要であり、弁護士はこの調査を適切に行うことができます。債務者の資産調査は専門的な知識と経験を必要とするため、弁護士の力が大きな助けとなります。

迅速に差押えの手続きを進めることができる

弁護士に依頼することで、迅速に差押手続きを進めることができます。さまざまなケースで、必要となる対応策を判断し、行動に移すことが可能であるため、債務回収のチャンスを逃すことを回避できます。また、申立てに必要となる書類の準備や申立ての手続きを適切に行うことで、債権者の手間を大幅に減らし、手続きのスピードを加速させることができるのです。

銀行口座の差押えについて債権者からよくある質問

以下では、債権者の皆様から特によく寄せられる質問に対し、Q&A形式で分かりやすく解説します。

Q.ネット銀行やゆうちょ銀行も差押えの対象ですか?

ネット銀行やゆうちょ銀行の口座も、都市銀行や地方銀行の口座と同様に、債権回収のための差押え対象となります。これらの金融機関を利用している債務者に対しても、適切な手続きを踏むことで債権回収が可能です。

ネット専業銀行の場合、物理的な店舗が存在しないため、差押えの申立てを行う際には、第三債務者として各ネット銀行の「本店」所在地を正確に記載することが不可欠です。これにより、銀行全体に対して差押えの効力が及ぶことになります。具体的な本店所在地は、各銀行の公式サイトなどで確認できるでしょう。

一方、ゆうちょ銀行の口座は、「預金」ではなく「貯金」という名称ですが、法的には預金債権として扱われるため、差押えの対象となります。申立ての際には、第三債務者として「株式会社ゆうちょ銀行」の本店を記載するのが一般的です。

参照)債務名義による差押え(大阪地裁)

Q.差押えにかかった弁護士費用は相手に請求できますか?

原則として、債権者が差押えの手続きを弁護士に依頼した場合の弁護士費用を、相手方(債務者)に請求することはできません。

ただし、差押えの申立てにかかった実費である「執行費用」については、債務者に請求し、回収する債権額に上乗せして取り立てることが可能です。これらの費用は、強制執行の目的を達成するために必要なものとして認められています。具体的には、申立手数料の収入印紙代、郵便切手代、資格証明書取得費用などが挙げられます。

口座差押えは弁護士へ相談しよう

銀行口座の差押えは、未回収の債権を法的に回収する上で非常に強力かつ有効な手段です。しかし、差押えの成功は、闇雲に手続きを進めるだけでは望めません。債権回収を実現させるためには、事前の財産調査によって「空振り」のリスクを回避しつつ適切に準備を進めることが不可欠です。特に、給与の振込日直後など、債務者の口座にまとまった資金が入金される「タイミング」を見計らって実行することは、回収率を大きく左右する重要な要素です。複数の金融機関の口座を同時に差し押さえることで、回収の可能性を高める戦略も有効となります。

銀行口座の差押え手続きは、法的な知識を要する専門分野です。23条照会から差押命令の申立て、その後の対応に至るまで、多岐にわたるステップを一人で正確にこなすことは容易ではありません。そのような場合に頼りになるのが、債権回収の実績が豊富な弁護士の存在です。弁護士に依頼することで、複雑な手続きを円滑に進められるだけでなく、回収の「成功率」と「スピード」が格段に向上するでしょう。

初回相談30分無料

無料相談
ご予約はこちら

【電話相談受付中】

受付時間 9:00〜22:00

【来所不要・土日祝も対応】

電話・LINE・ウェブでの相談可能です
1人で悩まずに弁護士に相談ください

「問題社員」カテゴリーのピックアップコラム

「労働紛争」カテゴリーのピックアップコラム

「顧問弁護士」カテゴリーのピックアップコラム

「債権回収」カテゴリーのピックアップコラム

「契約書・就業規則」カテゴリーのピックアップコラム

「残業代請求」カテゴリーのピックアップコラム