労災で治療中に社員を解雇できるのか?休業中の解雇制限を解説

更新日: 2026.07.28
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「労災で治療中の社員は解雇できるのだろうか?」

「労災で休業中の社員は、解雇して良いのだろうか?」

と気になりませんか。

結論から言えば、特定の条件を満たさずに労災で治療中の従業員、特に休業中の従業員を解雇することは非常に難しいです。

今回は、労災で治療中の社員を解雇できるのかどうかについてだけではなく、解雇できる場合のその条件や、もしも解雇を強行した場合のデメリットなどについて解説します。

労災中の社員の解雇について悩んでいる方はぜひ、最後まで読んでいってください。

労災で休業中は解雇できない

原則として、労災で休業中の従業員を解雇することはできません。

療養期間と治癒後30日間は解雇禁止

労働基準法19条において、従業員が労災で療養(休業)している期間に加えて、その治癒(症状固定)してから30日間は解雇が禁止されています。

労働基準法は労働者保護のために存在する法律です。労働者が、業務による怪我や疾患を負ったにも関わらず、就労できないことを理由に労働者を解雇できるとなると、労働者の保護に反します。

そのため、労働基準法では、業務災害による療養期間中と治癒後30日間においては、被災者の解雇を禁止しています。

被災者に過失があっても解雇制限

そもそも論として、労災は無過失責任という形をとっています。

従業員に過失があろうがなかろうが、業務と従業員の負ったケガに因果関係があれば会社の責任が認定されるのです。要は誰の過失なのかについては、労災認定において原則として問題にならないからです。労働者の過失は、使用者の損害賠償の問題において、過失相殺として考慮されるに留まります。

過失があっても労働災害とされる以上、被災者の過失を理由に労災であることを否定して解雇することは当然ながらできません。

懲戒解雇も制限される

労災による治療中は、業務上災害に関しては、懲戒解雇も制限されます。

なぜなら、労働基準法19条で解雇そのものが禁止されているからです。解雇の種類は定められていません。社員を解雇(クビ)にするという行為そのものができない、許されないという規定です。例えば、社員が普段から問題行動を起こしており、これをきっかけに解雇したい、というようなやり方は絶対に避けましょう。

そのため、労働者に懲戒事由があっても、解雇制限期間中であれば懲戒解雇することはできません。

私傷病扱いの解雇

労働者が私傷病により休職している場合、休職期間満了時に解雇あるいは自然退職とすることは認められています。

しかし、傷病が業務外ではなく業務上災害によって発生したものであれば、解雇や自然退職は労働基準法19条1項に違反します。例えば、労災隠しなどにより労災認定を受けていないような場合、業務災害として解雇が禁止されることがあります。

私傷病休職と労災(業務災害)の違い

社員が病気やケガで働けない場合でも、その原因が業務外(私傷病)業務上(労災)かによって、解雇や退職の扱いは大きく変わります。混同すると、解雇制限に反する無効な解雇をしてしまうおそれがあります。

比較項目 業務災害(労災) 私傷病(業務外)
解雇制限(労基法19条) あり(療養休業中+その後30日) なし
私傷病休職制度の適用 適用されない可能性が高い 適用される
休業中の主な補償 労災保険の休業(補償)給付 原則なし(健康保険の傷病手当金)
休職期間満了時の退職 解雇・自然退職ともに無効となるおそれ 就業規則の定めにより自然退職・解雇が可能な場合がある

「自然退職」と就業規則に定めていても無効になり得る

傷病が業務上のもの(労災)と評価される場合、休職期間満了に伴う解雇は労基法19条1項に違反して無効となります。注意すべきは、就業規則で「休職期間満了により自然退職(失職)とする」と定めていても、労基法19条1項が優先し、その自然退職の扱いも類推適用によって無効となり得る点です。「解雇ではなく自然退職だから大丈夫」とは言い切れません。

参考裁判例

東芝(うつ病・解雇)事件(最判 平26・3・24)……業務による心理的負荷でうつ病を発症したケースで、うつ病を「業務上の疾病」と評価し、休職期間満了に伴う解雇を労基法19条1項本文に違反して無効と判断しました。さらに、会社に責任(帰責性)がある場合には、民法536条2項により休職期間中の賃金請求権も失われない(=会社は休職期間中の賃金も支払う必要がある)としています。

アイフル(旧ライフ)事件(大阪高判 平24・12・13)……休職期間満了で「自然退職」として扱った事案で、労基法19条1項の類推適用により、その退職扱いを無効と判断しました(退職の数年後に労災と認定)。

最大の落とし穴:「私傷病だと思っていたら、実は労災だった」
私傷病休職として休職期間満了で退職扱いにした後に、業務災害と認定されると、その退職・解雇がさかのぼって無効となり、加えて休職期間中の賃金の支払いまで求められるおそれがあります。休職・退職の手続きを進める前に、傷病の原因が業務に起因しないか(労災に該当しないか)を必ず確認してください。

パワハラ・長時間労働による精神疾患は「労災」になり得る

近年、特に問題になりやすいのがうつ病などの精神疾患です。一見「私傷病」に見えても、その原因が長時間労働やハラスメントなど業務にあると評価されると、業務上の疾病(労災)となり、解雇制限がかかります。前述のとおり、私傷病扱いで休職・退職とした後に労災と認定されれば、その解雇・自然退職は無効となります。

どのような場合に「業務上」と判断されるか

労基法19条の「業務上」の負傷・疾病とは、業務と傷病との間に、業務に内在・随伴する危険が現実化したといえる相当因果関係が認められることをいいます。精神障害については、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」(令和5年9月1日改正・基発0901第2号)に基づき、業務による心理的負荷が「強」と評価されるかで判断されます。長時間労働については、例えば次のような時間外労働が一つの目安とされています。

  • 発病直前の1か月におおむね160時間を超える時間外労働
  • 発病直前の2か月間連続して1か月あたりおおむね120時間以上の時間外労働
  • 発病直前の3か月間連続して1か月あたりおおむね100時間以上の時間外労働

このほか、重大な事故・災害の体験、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの被害など、強い心理的負荷を与える出来事があった場合にも、業務起因性が認められることがあります。

解雇の前に「プロセス」を尽くす

直ちに職場復帰できない状態であっても、病状の経過観察や見通し、医師の意見などをまったく検討せずに解雇することは許されません。精神科医の診察・診断や休職措置、経過観察を経ずに行われた解雇を無効とした裁判例もあります(日本ヒューレット・パッカード事件〔最判平24・4・27〕)。労災に該当し得るかを見極め、丁寧な手順を踏むことが、後の紛争を防ぎます。

予防策:そもそも労災を発生させない健康管理
最も重要なのは、精神疾患の労災を発生させないことです。時間外労働が月80時間・100時間を超える社員への医師の面接指導、産業医・衛生管理者による健康管理、管理職を含めた定期的なメンタルヘルス研修などを通じて、長時間労働やハラスメントを未然に防ぐ体制づくりが、結果的に会社を守ることにつながります。

労災休業中に解雇できる条件

労災休業中に解雇できる条件は、以下の通りです。

・治癒(症状固定)した後30日以上経過した場合

・通勤災害の場合

・有期社員の雇止めの場合

・傷病補償年金の支払いを受けている場合

・天変地異やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

・定年退職をする場合

それぞれについて解説します。

治癒(症状固定)した後30日以上経過した場合

労災を起こした社員が治癒(症状固定)した後30日以上経過した場合、解雇が可能です。なぜなら、労働契約法19条は症状固定後30日までしか解雇制限を課していないからです。

ただし、注意点があります。原則として労災を起こして働けていなかったからという理由では解雇できないということです。

症状固定から30日後に解雇可能なことと解雇そのものが果たして有効となるかどうかは別物となります。本人が何事もなく復帰できている場合は、解雇は難しいでしょう。つまり、解雇ができる、というだけで、労働契約法16条の解雇制限はかかるからです。

反対に、症状固定後に30日以上が経過してもなお復職を拒否しないなどの状態にあれば解雇できる余地があります。

単純な問題ではないため、できれば弁護士など法律の専門家に聞いてから対処する方が良いでしょう。自己判断は避けましょう。

通勤災害の場合

通勤災害の場合、たとえ症状固定前であっても解雇は可能です。

なぜなら、通勤災害は業務災害と明確に区別されているからです。労働基準法19条が禁止しているのは業務上負傷した業務災害の療養中の解雇です。

通勤災害は通勤途上の被災であり業務災害とは区別されます。通勤災害も労災の対象に該当しますが、使用者側は通勤災害の責任を原則として負いません。

ただし、通勤災害により就労できないことをもって直ちに解雇することは簡単ではありません。

有期社員の雇止めの場合

有期契約社員(契約社員やパート従業員)に関しては、労災での休業期間中に契約期間が到来する場合、雇い止めをすることができます。

有期契約社員に関しては、契約期間が満了すれば労働契約が終了します。

労働基準法19条が禁止しているのは、解雇ですが、雇止めはここでいう解雇ではありません。そのため、労災の療養期間中であっても雇止めをすることは認められています。

ただし、労働契約をこれまで複数回更新している場合や更新されると期待することに合理的な理由がある場合には、雇止めをする合理的な理由があり、それが社会一般的に相当といえない限り、雇止めは無効となります(雇止め法理)。

【雇用形態別】試用期間・契約社員・派遣社員の労災と解雇制限

解雇制限(労働基準法19条)が及ぶ範囲は、雇用形態によって誤解されがちです。立場ごとの注意点を整理します。

試用期間中の社員

試用期間中であっても、労働基準法19条の解雇制限は適用されます。試用期間中は本採用前で解約権が留保されているとはいえ、業務災害による療養休業中およびその後30日間は、原則として解雇することはできません。「試用期間中だから」という理由で労災休業中の社員を解雇することはできない点に注意が必要です。

契約社員・パートなど有期雇用の社員

有期契約社員についても、契約期間の途中で解雇する場合には解雇制限がかかります(あわせて労働契約法17条により「やむを得ない事由」も必要)。一方、契約期間の満了による「雇止め」は解雇そのものではないため19条の直接の対象ではありませんが、反復更新の実態などがある場合は雇止め法理(労働契約法19条)の制約を受け、労災による休業を理由とする雇止めは合理性・相当性が問われます。

派遣社員

派遣社員の雇用主は派遣元です。したがって、派遣社員が派遣先で労災にあった場合でも、解雇制限は雇用主である派遣元との関係で適用されます。派遣先は雇用主ではないため、派遣社員を直接解雇することはできません。派遣先での被災であっても、派遣元が労災休業中の派遣社員を安易に解雇すれば解雇制限に反します。

打切補償を支払う場合

労基法81条の規定により、労災で療養開始後、3年を経過しても負傷や疾病が治らない場合、会社は打切補償として平均賃金の1200日分を支払うことにより、解雇をすることが可能となります。

ただ、解雇制限がなくなるだけであって、理由もなく解雇することはできません。したがって、打切補償により解雇制限がなくなっても、解雇について客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には解雇は許されません(労働契約法16条)。

傷病補償年金の支払いを受けている場合

労災保険法19条において、傷病補償年金を受け取る事態になった場合には、先ほど解説した打切補償を受け取ったことと同様の状態になり、解雇制限がなくなります。

簡単に言えば、療養開始から3年を経過したあとに、1200日分のお金を支払うか、傷病補償年金を受け取るに至った場合は労災に対する補償がある程度行われたとして、解雇制限が解除されるのです。

労災保険法第19条

業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けることになった場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることになった日において、同法第81条の規定により打切補償を支払ったものとする。

天災事変やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

天災事変やこれに準ずる程度の不可抗力などの突発的に発生する事由により、事業の継続ができなくなるような場合には、解雇制限がなくなります。

ただし、所轄労働基準監督署長の認定を受けることが必要となります。

定年退職をする場合

解雇制限期間中に定年を迎えて退職をする場合、解雇ではなく単なる定年退職となります。あくまでも、法律上禁止しているものは解雇ですので、解雇には該当しない定年退職は制限されません。

ただし、定年退職後の再雇用の問題は残ります。継続雇用制度を採用している場合、再雇用されると期待することに合理的な理由があれば、定年退職後の再雇用を拒否することが認められないこともあります。

労災で休業中の社員に「退職勧奨」はできる?

「解雇はできないなら、話し合って辞めてもらう(退職勧奨)ならどうか」という相談は少なくありません。結論として、退職勧奨そのものは、解雇制限(労働基準法19条)によって直ちに禁止されるわけではありません。解雇制限が制限しているのは会社が一方的に行う「解雇」であり、労働者が任意・自主的に退職に応じることは可能とされているためです。

ただし「退職強要」になると違法です
療養中の社員は、心身ともに弱い立場にあります。会社が「自主的な退職」の形にしようとして、辞表の提出を執拗に求める、「辞めなければ解雇する」と告げる、虚偽の説明をするといった働きかけをすると、労働者の自由な意思決定を妨げる「退職強要」として、退職の無効や不法行為(損害賠償)につながるおそれがあります。実質的に退職を強いる行為は、解雇制限の趣旨を潜脱するものとして厳しく評価されます。
実務のポイント:解雇より「合意退職」を検討する場面
後述のとおり、労災に該当する可能性が高い社員を解雇すると、後日その解雇が無効と判断されるリスクがあります。これに対し、労働者の自由な意思に基づく合意退職・自主退職は「解雇」ではないため、仮に後から労災と認定されても退職の効力までは無効になりません。労災認定の可能性が高い場合には、解雇を急ぐより、任意性を確保したうえで合意退職を検討するほうが、紛争リスクを抑えられます。合意に至った場合は、退職条件と本人の自由な意思に基づく合意であることを退職合意書で明確にしておきましょう。

解雇制限に反する解雇をした場合のデメリット

ここでは、解雇制限に反する解雇をした場合のデメリットについて解説します。

解雇が無効となる

解雇制限に反する解雇は無効となります。仮に、解雇理由があったとしても、解雇制限期間中であれば、解雇は不当解雇となります。

その結果、解雇処分をしたとしても、労働者との雇用契約は存続していることになります。

バックペイの負担

解雇処分が無効となることで企業は、解決時までの賃金相当額を負担しなければなりません。

解雇処分後に職場に復帰できる状態になっても、不当解雇により職場復帰しようにもできない場合には、企業は社員に対して賃金を支払う義務を負います。この企業が負担する賃金をバックペイと呼びます。

バックペイは、労働者が職場復帰したり、合意退職するなど、解雇の問題が解決するまで負担しなければなりません。

労働審判や労働訴訟で争われる

解雇制限に違反した解雇処分をすると、解雇問題が労働審判などの紛争に発展するリスクがあります。

労働審判や労働訴訟に発展すると、弁護士に依頼するための経済的な負担を強いられるだけでなく、これらに対応するための資料の準備や弁護士との打合せ、裁判所への出頭といった負担も生じます。また、労働組合の団体交渉を求められることもあります。

さらに、不当解雇が裁判で争われると、社員のモチベーションが低下したり、取引先等の第三者の評価を悪化させることもあります。

罰則(労働基準法119条1号)

労働基準法119条の1号により、解雇制限を守らずに解雇した場合、懲役6ヵ月以下の懲役または、30万円以下の罰金刑に処せられる可能性があります。労災休業中ではない解雇の場合、刑事罰ではなく民事(お金だけで解決できる裁判のこと)で争われることになりますが、労災休業中の解雇では刑事罰に処せられる可能性があるということです。

よくある質問(労災と解雇制限のQ&A)

Q. 労災で休業中の社員に、退職勧奨をしてもよいですか?
A. 退職勧奨そのものは解雇ではないため、解雇制限(労基法19条)で直ちに禁止されるわけではありません。ただし、辞表提出を執拗に求める、辞めなければ解雇すると告げるなど自由な意思決定を妨げる態様は「退職強要」として違法になり得ます。労災の可能性が高い場合はむしろ、任意性を確保した合意退職を検討し、退職合意書で自由な意思に基づく合意であることを残しましょう。
Q. パワハラや長時間労働でうつ病になった社員を、私傷病として解雇できますか?
A. うつ病等の原因が業務(長時間労働・ハラスメント等)にあると評価されると、業務上の疾病(労災)にあたり解雇制限がかかります。私傷病扱いで休職期間満了により解雇・自然退職としても、後に労災と認定されれば無効となり、休職期間中の賃金支払いを求められることもあります(東芝〔うつ病・解雇〕事件など)。欠勤開始の時点で労災該当性を精査してください。
Q. 「自然退職」と就業規則に定めていれば、労災でも退職扱いにできますか?
A. できるとは限りません。傷病が労災と評価される場合、就業規則で「休職期間満了により自然退職」と定めていても、労基法19条1項が優先・類推適用され、その自然退職の扱いが無効となり得ます(アイフル〔旧ライフ〕事件)。「解雇ではなく自然退職だから大丈夫」とは言えない点に注意が必要です。
Q. 私傷病の休職と労災では、解雇の扱いはどう違いますか?
A. 業務外の私傷病には解雇制限がなく、就業規則の定めにより休職期間満了で自然退職・解雇となる場合があります。一方、業務上の労災には解雇制限(労基法19条)がかかり、療養休業中とその後30日間は原則解雇できず、そもそも私傷病休職の規定が適用されない可能性も高くなります。
Q. 通勤災害の場合も、解雇制限はかかりますか?
A. 通勤災害は労災保険の対象ですが、業務上の負傷・疾病とは区別され、労働基準法19条の解雇制限はかかりません。そのため症状固定前でも解雇は可能です。ただし就労できないことをもって直ちに解雇できるわけではなく、解雇には客観的合理性・社会通念上の相当性(労働契約法16条)が必要です。
Q. 労災を申請中(認定前)でも解雇できますか?
A. まだ労災認定が出ていなくても、実態が業務上の負傷・疾病による療養休業であれば解雇制限がかかると考えるべきです。解雇後に労災と認定されれば、その解雇は解雇時点にさかのぼって無効となります。認定前だからと解雇を進めるのは危険で、認定の結果を待つか専門家に相談して慎重に判断してください。
Q. 症状固定(治癒)すれば、すぐ解雇できますか?
A. 解雇制限は症状固定後30日までしか及ばないため、その後は制限が外れます。ただし制限が外れることと解雇が有効であることは別問題で、復職できる状態であれば解雇は難しく、解雇するには労働契約法16条の合理性・相当性が別途必要になります。
Q. 打切補償を支払えば、必ず解雇できますか?
A. 療養開始後3年を経過しても治らない場合、平均賃金の1200日分の打切補償(労基法81条)を支払うか傷病補償年金を受ける状態になると、労基法19条の解雇制限は外れます。ただし、打切補償をすれば当然に解雇できるわけではなく、なお労働契約法16条の合理性・相当性が必要です(専修大学事件・最判平27・6・8)。
Q. 試用期間中の社員が労災にあった場合、解雇制限はかかりますか?
A. かかります。試用期間中であっても解雇制限(労基法19条)は適用され、業務災害による療養休業中とその後30日間は原則として解雇できません。試用期間中だからを理由に労災休業中の社員を解雇することはできません。
Q. 派遣社員が派遣先で労災にあった場合、解雇できますか?
A. 派遣社員の雇用主は派遣元であり、解雇制限は派遣元との関係で適用されます。派遣先は雇用主ではないため直接解雇することはできず、派遣元も労災休業中の派遣社員を安易に解雇すれば解雇制限に反します。

社員の解雇問題は弁護士に相談を

 社員の解雇問題は法的に非常に複雑であり、誤った判断や手続きが重大なリスクを招く可能性があります。特に労災による休業中の解雇については、労働基準法が厳しく制限しているため、法律の十分な理解と適切な対処が求められます。

そのため、解雇処分をするにあたっては、あらかじめ専門知識を持った弁護士のアドバイスが不可欠です。

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