就業規則を届け出る手続きとは?就業規則の提出方法を弁護士が解説

更新日: 2023.04.18

就業規則を作成したら、労働基準監督署へ届け出なければなりません。

その際どういった書類が必要になるのか、どのような届出の手順を必要とするのか正しく把握しておきましょう。

この記事では就業規則を作成・変更して労働基準監督署へ届け出るまで手順を、基礎知識も含め解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

就業規則とは何か?

就業規則とは、労働時間や給与、休日などを定めた会社内のルールです。

就業規則は、従業員の労働条件の最低ラインとなるだけでなく、従業員の問題行為を懲戒するための根拠になります。

そのため、就業規則は、労務管理を適切に行うための重要な役割を果たします。

就業規則は労基署へ届け出る必要がある!

常時10人以上の従業員を雇用する使用者は、事業所ごとに就業規則を作成しなければなりません。

また就業規則は作成しただけでは足りません。管轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。就業規則を変更した場合にも労基署への届出が必要です。

従業員への周知を行っても「届出」をしないと違法状態となってしまうので、届出を怠らないように注意しましょう。

従業員が10人未満である場合、就業規則の作成・届出義務はありませんが、従業員の労務管理を適切に行うために就業規則は作成しておくことが大切です。

常時10人以上の従業員の雇用とは

常時10人以上の労働者を使用する事業場においては、就業規則を所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

一時的に従業員の数が10人を下回ることがあっても、通常は10人以上の従業員を雇用しているのであれば、『常時10人以上』となります。

雇用形態が正社員だけでなく、パート、アルバイト、臨時社員、契約社員であっても、労働者にあたりますので、これら労働者も含めて10人のカウントをします。

会社全体ではなく事業者単位で、10人を超える場合には、事業者ごとに就業規則を作成して届け出る必要があります。

就業規則の届出に必要な書類

就業規則を届け出る場合には以下の書類が必要です。

  • 就業規則(社内規程含む)
  • 意見書
  • 届出書

就業規則

まずは作成・変更した就業規則を用意しなければなりません。

就業規則には、必ず記載しなければならない事項がいくつかあります。

就業規則に記載すべき事項は、以下の3種類に分類できます。

絶対的必要記載事項

どのような場合でも記載しなければなりません。具体的には、労働時間(始業・終業時間、休憩時間)、賃金等、退職などの事項が該当します。

労働時間等 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替勤務の要領
賃金等 決定・計算・支払の方法、締切り、支払の時期、昇給について
退職 身分の喪失に関する事項、任意退職、解雇、定年
相対的必要記載事項

該当する場合に記載しなければなりません。たとえば退職手当や転勤・出向、懲戒などについての事項です。

退職金 退職金が適用となる従業員の範囲、支給の条件、計算方法・ 支払方法・支払時期
臨時の賃金 臨時の賃金等の支給条件と支払時期、最低賃金額
その他 食費・作業用品などの負担、安全・衛生、職業訓練 災害補償、業務外の傷病扶助、表彰・制裁、懲戒事由と懲戒処分
任意的記載事項

記載してもしなくても良い事項です。たとえば服務規律などが該当します。

なお、必要的記載事項の一部を欠いている場合でも、就業規則全体が無効となるわけでありません。

就業規則の内容は、労働基準法その他の法令に沿ったものであることが必要です。

その上、労働法令は、毎年法改正が行われ、その改正の情報をキャッチアップして、改正内容を確認しながら、就業規則の内容をチェックする必要があります。

就業規則の作成には、弁護士や社会保険労務士などの専門家に依頼することを検討しましょう。

社内規定がある場合

就業規則の本則とは別に、賃金規程(給与規程)、退職金規程、育児介護休業規定、ハラスメント防止規定などの社内規定がある企業もあるでしょう。

非正規社員を雇用している場合には、非正規社員に適用される就業規則も作成しておくべきでしょう。

これら社内規定も就業規則の一部となります。

そのため、就業規則の届出に際しては、これら社内規定も合わせて提出しなければなりません。

意見書

就業規則を提出する際には、労働者の意見書を添付しなければなりません。

意見書は、労働者が就業規則に対する意見を記載する書類です。

労働組合か代表者の意見

以下のいずれかの人に署名押印してもらう必要があります。

  1. 労働者の過半数が参加する労働組合がある場合、その労働組合
  2. 労働者の過半数が参加する労働組合がない場合、労働者の過半数を代表する人

2の労働者の過半数代表者は、誰でもなれるわけではありません。

管理監督者の地位にある労働者は、代表者にはなれません。

さらには、労働者代表者を選ぶ必要があることを説明していたうえで、立候補者、又は労働者間の話し合いにより選ばれていることが必要となります。

意見書に書いてもらうこと

意見書には、「就業規則に対する意見」、「労働組合の名称又は労働者の過半数を代表する者の職名、氏名」、「労働者の過半数を代表する者の選出方法」を記入しなければなりません。

意見書には就業規則に対する意見を書いてもらいます。

特に意見がなかったら「特になし」などでもかまいません。

また、意見を書いてもらえさえすれば良いので、労働者代表の同意までは不要です。

異議がある旨書かれたとしても、そのまま提出しましょう。

仮に、労働者代表者が反対の意見を書いても、就業規則の効力それ自体に影響は生じません。

ただし、労働者の不利益変更の規定については、その効力を判断する一つの事情になり得ます。

就業規則の不利益変更はこちらの記事|就業規則を不利益に変更する場合の注意点を弁護士が解説

労働者代表者が意見書を提出しない場合

就業規則の届出には、労働者代表者か労働組合の意見書を添付しなければなりません。

しかし、労働者代表者等が意見書の署名捺印に協力しない場合はどうなるのでしょうか?

労働組合や労働者代表者が故意に意見書の提出を拒否する場合でも、会社が労働者代表者などに対して、意見を聞いたことが客観的に証明できる限り、意見書の添付がなくても就業規則の届出は受理されると解されています。

就業規則(変更)届

就業規則の作成や改定の際には就業規則(変更)届を作成し、提出しましょう。

就業規則を部分的に変更する場合には、新旧対照表を記載した変更届を提出することも認められています。

新旧対照表には、変更前と変更後の違いを表記します。

初めて就業規則を届け出る場合や全面的に就業規則を変更する場合には、届出とともに就業規則そのものを添付して届け出る必要があります。

就業規則を部分的に変更する場合には、労働局のHPから様式をダウンロードできます。

就業規則の届出の手順

就業規則の届出をする場合には、以下の4つの手順を踏む必要があります。

就業規則届出の手続き・流れ
就業規則の作成
労働者と協議
意見書の作成
就業規則届の作成
管轄労基署に提出

就業規則を作成・変更する

まずは就業規則を作成あるいは変更しなければなりません。

法律上必要とされる記載事項などにも注意し、漏れや間違いがないように慎重に内容を検討しましょう。

また就業規則は自社のニーズに合ったものにする必要があります。

労働者側と協議する

次に労働者側と協議を行って意見を聞きましょう。

なるべくなら社員の合意を得られるのが望ましいといえます。

特に、労働者の労働条件を不利益に変更する場合には、労働者と個別に協議をして、労働者の理解を求めるよう慎重に進めるべきでしょう。

意見書を作成する

労働者から意見を聞いたら意見書を作成しましょう。意見書は就業規則の届出の際に一緒に提出しなければなりません。労働者の代表者に署名押印してもらって完成しましょう。

就業規則(変更)届の作成

書式を使って就業規則(変更)届けを作成します。

管轄の労働基準監督署へ提出する

就業規則の届出に必要な書類が揃ったら、就業規則本体や意見書その他添付書類を管轄の労働基準監督署へ提出しましょう。

必要書類は2部用意する

労基署へ提出する必要書類は、それぞれ2部ずつ用意すべきです。1通は届出用、もう1通は会社の控えとします。

会社控え用の書類については、労基署で受付印を押してもらってから保管しましょう。

従業員に周知させる(周知方法)

使用者は作成した就業規則を従業員に対して周知させる義務を負います。

従業員の周知方法としては、以下の方法が法令に列記されています。

① 常時各作業 場の見やすい場所に掲示しまたは備えつけること

② 書面を交付すること

③ 磁気テープ・磁気ディスクなどに記録し、 各作業場に労働者が当該記録の内容 を常時確認できる機器を設置すること

これ以外の方法でも、何らかの方法で労働者側に実質的に周知されていれば足りると解されています。

周知のされていない就業規則は、労働者に対する拘束力が否定されると考えられています(フジ興産事件最高裁判決)。

就業規則の周知義務は、作成義務のない10人未満の事業場においても及ぶと解されています。

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就業規則の提出期限はあるのか?

就業規則を作成したら、いつまでに提出しなければならないのでしょうか?

就業規則について、特に届出の期限は設定されていません。

ただし「遅滞なく」提出すべきとされています(労働基準法施行規則第49条1項)。

就業規則を作成・変更して完成したら、なるべく早めに届出をしましょう。

なお就業規則の施行日前でも届出は可能です。

就業規則の届出をしない場合

就業規則を管轄の労働基準監督署に届出をしなかったとしても、就業規則それ自体は無効にはなりません。

しかし、10人以上の労働者のいる企業では、就業規則の作成義務・届出義務を負います。

それにもかかわらず、企業が就業規則の届出を怠ると、30万円以下の罰金等の罰則を受けることがあります。

就業規則を労働基準に届出る2つの方法

就業規則を労基署へ提出する方法には2つあります。

  • 窓口申請(持参する)
  • 郵送
  • 電子申請

①窓口申請(持参する方法)

1つは管轄の労基署へ持参する方法です。

しかし、就業規則、意見書、届出書について、それぞれ必要な部数を印刷した上で、これら書面を持参して所轄労働基準監督署まで出向く必要があるため、印刷コストと移動コストが発生します。

②郵送する方法

2つ目は郵送する方法です。

郵送で提出する場合、会社の控えを返送してもらうために必ず返信用封筒と切手を同封しましょう。

窓口申請とは異なり、移動コストはありませんが、郵送コストがかかります。

③電子申請

3つ目は電子申請する方法です。

電子申請は、移動コストや郵送コストが発生しません。

また、ワードやPDF形式の就業規則を添付すれば足りますので、就業規則等の印刷をする必要もありません。

ただし、就業規則を電子申請により提出する場合には、予めe-Gov(イーガブ「電子政府の総合窓口」)にアカウント登録をしておく必要があります。

e-Govの利用方法はこちら

TIPS!36協定も電子申請

36協定とは、労働基準法第36条による時間外・休日労働の取り決めに関する労使協定のことです。
労働基準法36条による労使協定であるため「36協定」と呼ばれています。

36協定の締結・届出をせずに時間外等労働をさせることは違法となるのが原則です。
36協定も就業規則と同様、電子申請による提出が認められています。
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、2023年4月から、中小企業にも適用されることになります。
これに合わせて、36協定の見直しをする必要があります。

本社一括届出について

就業規則は、会社単位ではなく事業場単位で届出をしなければなりません。

各事業場単位で労働者が10人以上であれば、当該事業場の管轄する労働基準監督署に就業規則を提出します。

そのため、従業員が10人を超える事業場が複数ある場合には、その事業場の数だけ就業規則の届出をしなければなりません。

しかし、事業場ごとに所轄の労基署にそれぞれ届け出る手続は煩雑で労力を要します。

そこで、複数の事業場を運営する企業が、一定の要件を満たせば、本社以外の事業場分の就業規則についても、本社で一括して提出することができるようになりました。

これが、本社一括届出制度です。

当事務所では、本社一括届出についても、電子申請により代行を行なっています。

本社一括届出の要件

一括届出をするためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 本社の就業規則と本社以外の事業場の就業規則が同一の内容であること
  • 事業場の数と同じ部数の就業規則と意見書を準備すること。なお、一つの管轄の労働基準監督署内に複数の事業場がある場合には、就業規則は1部で構いませんが、意見書は事業場の数ごとに必要です。
  • 本社以外の対象事業場の名前、住所、管轄する労働基準監督署名を列記した一覧表を作成すること

一覧表の作成には、厚生労働省の作成ツールを利用します。

一括届出に必要となる書類

一括届出をするためには、以下の書類を提出する必要があります。

①本社の就業規則、意見書及び届出書の各2部

②対象事業場の一覧表2部

③対象事業場の意見書

④対象事業場の就業規則(事業場の管轄監督署ごとに1部)

弁護士に相談しよう

就業規則を作成・変更する際には、労働者の意見を聞いて意見書を作成し、管轄の労働基準監督署へ速やかに届け出ましょう。

難波みなみ法律事務所では中小企業法務に積極的に取り組んでいます。

就業規則の作成や変更のサポート、電子申請による就業規則等の届出も行っていますので、お気軽にご相談ください。

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